地震工学研究室
 
教員:森 伸一郎(助教授) 専門:地震工学,地震防災,土木設計学
所属学会:土木,地震工,地盤工,日本建築,地震,自然災害,地域安全,震災予防,米国地震工,米国地震,
               国際地盤工の各学会(名称中最後の「学会」を省略,震災予防のみ「協会」)
 
学生:修士2年/2名,修士1年/3名,学部4年/4名,研究生/1名(2006年)
 
● 研究の背景
 我が国の社会基盤施設を構成する多くの構造物の力学的な性能は,地震に対する設計が支配的となります.したがって,新しく建設される構造物の耐震設計はもちろん,すでにストックされている構造物の耐震性評価は将来の地震に対する安全性を担保するためには大変重要です.構造物の地震時の挙動はそれを支える地盤の地震時挙動に大きく影響されます.強震動の下では地盤も構造物も元には戻らなくなるほどの変形状態で挙動します.地震被害を低減するためには,耐震設計でこのような状況を適切に評価する必要があります.
 
 
● 研究の内容
 本研究室では,地盤の地震時挙動,構造物・基礎・地盤の地震時相互作用,地盤の液状化,それらを考慮する数値解析法と設計法,地盤の振動特性,土の変形強度特性などの地震工学上の研究をはじめ,それらの成果を活かした実用的な設計法,調査法,診断法の研究を行っています.また,そこでは,数値解析,実験,現地調査,地震被害調査などの手段を駆使しています.
さらに,地震災害の軽減のためには,このようなハード面での対策だけでは十分ではありません.ソフト面での対策も含む地震防災が求められています.特に,南海地震・東南海地震・東海地震などの迫り来る大地震に対しては対策が急務です.そこで,最近は,有効な地震防災技術を開発し,対策を推進する実際的な研究開発にも取り組んでいます.
 
 
● 研究テーマと内容 (詳細は研究室のホームページを参照して下さい)
(1) 地盤と構造物の地震時動的相互作用
 軟弱地盤に建設される橋梁や建物では杭基礎が使われることが普通です.軟弱地盤では液状化が問題になることが少なくありません.このような地盤は地震時にはよくゆれて,大きなゆれ幅で振動します.このようなとき表層の地盤内でも大きく変形します.地盤中の杭はそのような変形をまともに受けますので地中部で大きく損傷することが危惧されます.この様子を精度良く再現できる地盤・基礎・構造物系の非線形相互作用の数値解析技術を研究しています.質点系モデル,有限要素モデルなどが用いられます.振動測定,地震記録,地震被害調査などにより検証しています.
 
(2) 強震時の地盤の非線形挙動
 土の剛性や減衰などの変形特性はせん断ひずみに大きく依存します.地震時にはゆれの大きさによって土の変形特性が変動します.ゆれが強烈な場合,土の変形が進んで破壊領域にまで達することがあります.砂質地盤の場合には液状化に至ります.土の変形特性が変化すると地盤の振動特性も変化します.このような土と地盤の地震時挙動の実態を知り,再現・予測するための数値解析技術が必要です.そのために,高精度な中空ねじり試験機を用いた土の変形特性・液状化特性の試験,非線形挙動の地震記録の分析と数値解析シミュレーション,常時微動測定などの実証的研究を行っています.
 
(3) 地盤の液状化挙動
 地震時にゆれが強烈な場合には,土の変形が進んで砂質地盤の場合には液状化に至ります.液状化に至る過程と液状化に至った後の挙動を対象にした研究として,細粒土・中間土の液状化特性を明らかにするための実験的研究を行っています.また,実際の地震での液状化についても調査して,液状化した土や地盤の特性を研究しています.
 
(4) 実地震での構造物の被害発生メカニズムの解明
 地震工学研究は実地震での被害経験の分析により進歩してきました.実際の地震での被害形態や被害メカニズムを調査することは,それらを織り込んだ耐震設計を検証または開発することに直結します.そのため実際の被害地震が発生しましたら原則として現地調査を行っています.被害形態や発生状況が特異なもので,上の3つの研究テーマに関わるものについて深く調査し実証的なアプローチで被害形態と被害メカニズムを明らかにする研究を行っています.
 
(5) 構造物の耐震設計法,耐震診断法
 上の4つの研究テーマの成果を社会に直接活かすために,設計法として簡略化することを研究しています.また,耐震設計による対処だけで十分ではないものや困難なものについては耐震診断が有効な対策法と考えられます.前者では盛土を,後者では斜面を対象として捉えています.特に斜面は豪雨などによる崩壊リスクを対象とした維持管理業務が重要で,その成果は技術者による点検結果に基づき防砂カルテとして整理されています.それを地震被害リスク評価に活用する研究をしています.
 
(6) 地震防災
 地域の自主防災活動を推進し,地域の防災力を向上させ,迫り来る大地震に少しでも被害を軽減し,地震の後の復旧・復興をも低負荷なものとするためのソフト面での研究をしています.地震ハザードマップ自主作成ワークショップによる地域防災活動の推進,地域防災活動の効果の計量,地域における避難行動の構造化,などの研究を地域貢献活動として行っています.
 
 
● 最近の研究テーマ(卒業論文のみ例示)
2005年度
  中空ねじり試験による種々の土の繰返し変形特性のモデル化*
  道路盛土の地震応答増幅特性に関する研究
  道路防災点検の結果を利用した松山周辺の道路斜面の耐震性評価
2004年度
  新潟県中越地震における新幹線脱線のメカニズム推定*
  新潟県中越地震における山岳トンネルの被害とそのメカニズム
  常時微動測定による高速道路盛土と建物の動的相互作用特性の抽出
  市民の防災意識調査とハザードマップワークショップによる防災啓蒙
 
 
● 研究室の主な備品
・携帯型振動測定器(地震計,微動測定)   2台(GEODAS:8ch,24ch)
・振動計(速度計,3成分,2秒計)            3台(延長ケーブル:50m×3本)
・振動測定器(地震計,微動測定)            1台(Katsujima:8ch)
・動コイル式(加速度計)                          3台(水平動2台,鉛直動1台)
・中空ねじり試験機(油圧サーボ)             1台(外10cm内6cm高12cm,:外7cm内3cm高12cm)
・小型振動台用せん断土槽                     1台(土層枠アルミ製16段,60cm×20cm×50cm)
・デジタル測定器                                   1台(ひずみゲージタイプ変換器用,24ch)
・変位計,小型水圧計,超小型水圧計,超小型土圧計 多数, 土の物理試験道具 1式
・GISソフト                                            1式(Arc View)
 
 
● 学生の活動状況,就職状況
 8年で26名卒業修了,14名大学院進学,昨年度までの11名は平均4.5回/人の学会発表,8名が学会の優秀発表賞受賞,就職:国公2,地公2,建設8,コンサル3,住宅2,製造2,商業1,その他1
指導方針:論理的思考力,研究発表力,技術文章作成力・技術会話力,問題解決能力の育成